December 21, 2011

技術やアイデアそのものに功罪はない

 ファイル共有ソフトWinnyを開発・公開したことが、ゲームソフトなどの違法コピーを助けた事になるという、普通に考えたらめちゃくちゃなこじつけを理由に、著作権法違反幇助罪に問われた金子被告の上告審で、最高裁第3小法廷が著作権侵害を容認していないととして、逆転無罪の2審大阪高裁判決が確定しそうです。
 Winnyの利用で著作権を侵害するような行為が横行したのは事実なのですが、道具はそれを使う人間に依って、毒にも薬にもなる物です。ファイル共有ソフトを開発したから著作権侵害を幇助したというのならば、類似事件を誘発するような三面記事事件を扱う昼帯の番組は犯罪の幇助になるし、うっかりするとサスペンス劇場はことごとく殺人幇助です。
 技術やアイデアが具現化されると、必ずそれを使って利便性を得ようとする人たちが現れます。もちろん知的所有権というのは守られるべき物なのですが、これが過ぎるとむしろ技術進歩やアイデア開発が抑制されてしまう。ましてや、多くの拝金主義者は知的所有権が金づるでしかないのです。その点では金子被告はむしろ無料公開したのですから責められる必要はないと思うのです。
 少なくとも最高裁判所には僅かながらの理性があったことに、ほっとしました。